かれこれ38年にもなるが、この間、何人の少年が巣立っただろう … たぶん、何千人。嬉しい事だ。
今回も参加列席して、校庭に並ぶ8人の卒部者と、取り囲んだ在校生や保護者の皆さんに、卒部のお祝いを申し上げた。実は、38年間ずっと、この場では同じ事を言い続けている。
- コーチや監督の皆さんが、学校教育や家庭教育でできない教育を、大切な時間を割いて、無報酬で担って下さっている、そうした方々に、感謝。中には、30年以上も続けてこられた方もおられる。
- 保護者の方へは、自分の子供だけを顕微鏡で見るのではなく、広く皆を大きな双眼鏡で見て下さったと、お礼。
- 卒部者が大人になっても、金持ちや高い地位の人が偉いと思う価値観を持たないで下さい。人間の価値は、自分以外の人々を愛し、自分以外の命を大切にする人格なのです。それは、学歴とか家柄やかっこいい姿、形とは関係のない事です。
- もし、大人になって時間の余裕ができれば、また少年野球に帰ってきて、次の子供達を育てて下さい。
そして、「以上の4つが、安井のおじさんのお願いなのです」と締めくくる。特にこの東灘小学校は、他の学校と違って校長や教頭、担任の先生がたも出席される。子供達には、良い思い出になるだろう。
嬉しい事に、もうすでに何人か、少年野球のコーチとして戻ってきてくださっている方がおられる。実に、ありがたい事である。
卒部の少年の一人が、思いがけず私に「安井のおじさん、ありがとう」と言ってくれた。思わず「ありがとう。また会いたいね」と返事をすると「生きている?」と聞かれた。そうだ。彼が社会人になっている頃、私はもう、この世にはいないかもしれない。
だが、それでいい。きっと彼も、他の子も、帰ってきてくれるだろう ─ そう信じながら、夕空を見上げたのだった。