今回の講師は、日露交流協会副会長の朝妻幸雄氏と、エフゲニー・ウラージミロヴィチ・アファナシエフ 現駐日ロシア連邦特命全権大使。
日露経済交流の展望と題された朝妻幸雄氏の講演は、「私の名前は、モーニングワイフ」と笑いを取って始まった。72歳の同氏は、外務省の委嘱で、日本センター所長としてモスクワに赴任。ロシア滞在年数28年という、ロシア通だ。主な講演の要点を列記すると…
- 日本人はロシアと付き合うのに、臆病になっている。ロシアは冷酷で怖い国と思っている。それは逆で、ロシア人は日本が好き。大変な好日国である。
- 今回の東北の震災において、ロシアはトップクラスの精鋭部隊からなる150人の救助隊を出し、何も要求せず、もくもくと働き、静かに去った。アメリカは部隊をたくさん送ったが、費用を要求している。メディアはアメリカの事を報じても、ロシアについてはゼロであった。
- プーチンは、ロシア国内では圧倒的な支持があり、プーチンが首相の時のロシアは、経済的にも急成長をしている。ロシアに出ている企業は、アメリカ1100社、欧州6000社。日本はわずか200社。日本は、ロシアに近づいていない。確かに1990年代、日本から出た企業が大きな痛手を負った事があり、その時のトラウマがある。が、あまりにも少なすぎる。ロシアはアジアに向かっていて、日本に熱い思いを持っている。今や、韓国企業が急増している。
- 資源大国ロシアと日本の技術が組めば、最強経済国が出来る。ロシアは、それを求めている。
- 日本は、ロシアを見下げてはいけない。今や経済大国である。かつての貧しい国ではない。見上げてもいけない。対等に付き合う事が大切である。
- 今回のウクライナの件で、日本政府の対応はもっと慎重にするべきである。
- 地球を北から見ると、福岡から東京と同じ距離に、ウラジオストクがある。イラン、イラク、アラブからエネルギーを求めるより、早く、安い。もっと研究するべきである。
▲ アファナシエフ大使と
「ロシアは決して冷たい国ではない。ロシアの広大な領土の3分の2は、アジア地区である。3分の1の欧州側に、1億人の人が。3分の2のアジア側には、わずか1千万人しかいない。このアジア地区に、日本の技術で農業を協同経営できれば、両国にとって大きな利益となる。世界は色々言っているが、ロシアはエネルギーで他国を脅かした事は無い」と述べられた。
▲朝妻先生と
「ロシアはロシアの連邦を組んでいる国々に安く、時にはお金が滞納してもエネルギーを供給しているが、それらの国が欧州よりになったり、アメリカに媚びをうって逃げ出そうとするので、それなら、欧州に出している同じ値段でエネルギーを買って下さい。または、今までの借金を返して下さいと言っているので、脅しているとは思っていないのでしょう」と解説してくださった。なるほど、そうかもしれない。
アファナシエフ大使は、「私は、日ソ平和条約が締結されるまで、決して大使を辞めない」と決意を述べられた。その素晴らしい使命感に、私は心から拍手を送った。
続いて開かれた晩餐会では、大使ご夫妻や先の朝妻幸雄氏に加え、貫 正義 九州電力株式会社会長、石原 進 JR九州取締役会長、久間章生 元防衛大臣、蔵内勇夫 農学博士(写真右・前列中央)、深川裕次 有田町商工会議所会頭(写真右・前列左)、それに、麻生渡福岡空港ビルディング株式会社社長・元福岡県知事など、豪華な顔ぶれが約20人。特に麻生氏は、平野昌司と私の名前を挙げて「わざわざ神戸から勉強に来て下さった」と、私たちにもご配慮下さった。ありがたい事であった。
これだけの仕掛けをする田村という人物と、人脈を持った麻生渡氏は欲しいなぁ、と平野議員と語り合った。なにしろ、このフォーラムで、福岡という街がロシアで売れるのだ。かつて、フルシチョフにペプシーコーラの社長がプレゼントをしたおかげで、今やロシアはペプシーコーラだらけだ。ロシアは友好国であり、我々を待っている。「神戸もプロポーズしよう」 ─ 私と平野議員で地ならしして、同志の議員と共にロシアを訪ねたいと思っているところである。彼国の人々の心は、決してツンドラ(永久凍土)ではないようだし…。